この章では業務上で必要となる管理体制などについて定めています。
飲食店の経営上、重要なことが記載されていますのでよく理解しておかなければなりません。
食品衛生管理者の設置
特定の製造・加工業者は施設ごとに食品衛生管理者を配置し、それを都道府県知事への届け出る必要があります 。
食品衛生管理者は、一定の資格(医師、薬剤師、特定分野の学位取得者など)が必要で、製造・加工を監督することになります。
専門の学位がなくても、食品衛生管理者を置かなければならない事業所で衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者は 食品衛生管理者になることができます。ただし、その事業所と同種の製造業又は加工業の施設においてのみとなります。
営業者が自ら食品衛生管理者となって管理する施設は専任で置かなくても構いません。
(労働安全衛生法で定められた「衛生管理者(第1種、第2種)」とは異なるものです)
設置が必要となる特定の営業は政令で下記の通りとなっています。
(政令)全粉乳、加糖粉乳、調製粉乳、食肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、放射線照射食品、食用油脂、マーガリン、ショートニング及び添加物
有害物質混入防止の基準
厚生労働大臣は、有毒・有害物質の混入防止のための基準を定め、営業者はこの基準を遵守しなければなりません。
衛生管理基準の設定と遵守 (令和2年6月1日改正で本条文が施行され、全ての飲食店でHACCPの考えを取り入れることが義務になりました。)
厚生労働大臣は、食品等の製造・加工で有毒な又は有害な物質が混入することを防止するための措置に関して必要な基準を定めることができます。
その基準が定められたときは、営業者は、これを遵守しなければなりません。
厚生労働大臣は営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置について、次に掲げる事項に関する基準を定めることになります 。→厚生労働省令別表17、18
1施設の内外の清潔保持、ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理に関すること。
→「一般衛生管理プログラム」(PP)を作ることになります。
2食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(小規模な営業者、その他の政令で定める営業者にあつては、その取り扱う食品の特性に応じた取組)に関すること。
公衆衛生上必要な措置については、都道府県知事等が条例で必要な規定を定めます。
食品衛生責任者
上の営業に関して省令により、「食品衛生責任者」を設置することが定められています。(輸入業者等以外)
食品衛生責任者は、食品衛生に必要な注意を行うとともに、営業者に対し必要な意見を述べるよう努めます。
食品衛生責任者の資格には特定の学位を取得していることが要件ですが、他にも都道府県知事等が行う講習会又は都道府県知事等が適正と認める講習会を受講した者もなることができます。また、食品衛生管理者が、食品衛生責任者を兼ねることができます。
製品の材質に関する説明義務
特定の材質を使用した器具や包装材を製造・販売する者は、顧客に対してその材質の規格適合性を説明する義務があります。
※特定の材質→(政令)合成樹脂
都道府県の基準設定
公衆衛生に与える影響が大きい業種(下記参照)に対して都道府県は基準を定め、営業許可を必要とすることができます。
許可には処分歴なのど欠格要件があります。都道府県知事は、5年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができます。
(政令)
1飲食店営業 2調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業 3食肉販売業 4魚介類販売業
5魚介類競り売り営業 6集乳業 7乳処理業 8特別牛乳搾取処理業 9食肉処理業 10食品の放射線照射業 11菓子製造業 12アイスクリーム類製造業 13乳製品製造業 14清涼飲料水製造業 15食肉製品製造業 16水産製品製造業 17氷雪製造業
18液卵製造業 19食用油脂製造業 20みそ又はしょうゆ製造業 21酒類製造業 22豆腐製造業 23納豆製造業 24麺類製造業 25そうざい製造業 26複合型そうざい製造業 27冷凍食品製造業 28複合型冷凍食品製造業 29漬物製造業 30密封包装食品製造業 31食品の小分け業 32添加物製造業
営業の承継と届出
許可営業を他者が譲り受けた場合、その事実を都道府県知事に届け出る必要があります。
営業届出
営業を行おうとするものは事前に都道府県知事に営業所情報を届け出る必要があります。(公衆衛生に与える影響が小さい営業である以外(下記参照))
(政令)
・食品又は添加物の輸入をする営業
・食品又は添加物の貯蔵のみをし、又は運搬のみをする営業(食品の冷凍又は冷蔵業を除く。)
・容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品又は添加物のうち、冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化により食品衛生上の危害の発生のおそれがないものの販売をする営業
・器具又は容器包装(第一条に規定する材質以外の原材料が使用された器具又は容器包装に限る。)の製造をする営業
・器具又は容器包装の輸入をし、又は販売をする営業
製品回収の義務
違反の可能性がある場合、営業者は食品や器具の回収を行い、その状況を都道府県知事に届け出る義務があります。
違反に対する措置
厚生労働大臣や都道府県知事は 違反があった場合、違反品の廃棄や営業の一部または全部の停止を命じることができます。
また、施設が基準に違反している場合、施設の改善命令を行うことになります。
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