飲食店HACCP 1イントロ➁

 HACCPが考案される以前の品質保証の仕組みは、完成品の抜き取り検査によるものが主流でした。

このため、全数を保証することはできず、運が悪く規格等を逸脱した商品がこの抜き取りで見つからない場合、流出してお客様にまで至ることになります。

 このお客様がもし宇宙ステーションにいる宇宙飛行士だった場合、とてもまずいことになると考えられたわけです。


 そこで、新しい品質保証のシステムが考案されました。

概略としては、3つの大きなINPUT、①原材料、➁製造過程に逸脱がなく、それが安全な③製造環境でおこなわれていることを保証できれば出来上がった商品の全てを保証できるという考え方です。これが総合衛生管理過程といわれるHACCPの仕組みになります。

「理屈はその通りだろうけど」と思われるかもしれませんが、 その「理屈」を構築していくことが、まさに飲食店の中にHACCPの考え方を取り入れていく作業になります。

1993年に米国のCodex委員会(食品の国際規格、日本は1966年に加盟)でガイドラインが示されてから、食品を輸出する場合にも「HACCPに基づく衛生管理」が義務付けれられるなど国際的な標準となっていきました。

ところで、以前は大規模な食品企業を対象として、「HACCPに基づく衛生管理」システムを導入した事業所には、それを厚生労働省が承認する制度がありました。平成8年に乳・乳製品などから始まり、順次対象品目が拡大していきましたが、令和2年に廃止されています。

一方で、同年の食品衛生法改正により飲食店での「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が義務化されました

 つづく。


【抜き取り検査とHACCP】全数抜き取り検査ができれば最良の品質保証となりますが、通常は破壊検査となるものや、母数が多すぎるなど現実的でないことが多いです。そこで、HACCP(総合衛生管理)を取り入れることになりますが、従来型の抜き取り検査も、工程の「バラツキ」を把握する指標として重要ですので、HACCP導入後も併用されます。検査頻度や数量は統計学に基づいて設定され、検査結果はバラツキ(3σ、5σ)を考察する必要があります。

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