農地転用

代々受け継がれてきた農地は豊かな自然を感じさせてくれます。一方で、農地は限られた資源であり、食料供給に関しての重要性があります。そのため、耕作者の地位や国内の農業生産の確保を目指して、農地の権利移動や別の用途へ転用する場合、許認可手続きが必要とされています(農地法)

農地の権利・用途の変更に関して下記の3点が制限されています。

  1. 権利移動・転用の制限(第3条) 転用ではなく農地としての売買・賃貸などは農業委員会が許可します ①全部効率利用要件 ②農業生産法人要件 ③農業作業常時従事要件 ④下限面積要件 →令和5年4月1日から廃止 ⑤地域との調和要件があります。 相続の場合は農業委員会への届出となります 3条の3第1項 届出がない場合10万円以下の過料となります
  2. 農地の転用の制限(第4条) 自分の所有する農地を自らが使用するために転用する場合 宅地、駐車場、資材置き場、作業員仮宿舎などの転用→許可申請 4ha以下 都道府県知事 4haを超える場合 農林水産大臣 2以上の市区町村にまたがり2ha以下の転用で都道府県の権限移譲を受けた市区町村→農業委員会が許可 都市計画区域内 市街化調整区域内の農地、または2a未満の農業用施設(進入路、農業用水路、農業用倉庫、温室など)を設置する場合は許可不要、市町村の農業委員会への届出で済む 無断転用は3年以下の懲役または300万円以下の罰金
  3. 転用のための権利移動の制限(第5条) 所有権移転、賃貸借権・使用賃貸借権設定などについて、区域ごとに下記の立地基準と一般基準があります。

【立地基準】

     可否        例外
農用地区域農業振興地域整備計画(市区町村)における区域原則転用不可①土地収用法26条の事業②農用地利用計画で指定された用途③仮設工作物の一時的な利用
甲種農地特に良好な営農条件を備えている農地、市街化調整区域内の土地改良事業等(8年以内)等原則転用不可①、③、④農業用施設、農産物加工施設⑤公益性の高いと認められる事業に供する場合
第1種農地良好な営農条件を備えている農地、10ha以上の農地、土地改良事業等の対象等原則転用不可甲種農地とほぼ同様。一部甲種農地で不可でも許可される場合がある
第2種農地市街地化が見込まれる農地、山間地等の生産性の低い小集団の農地原則許可周辺の土地で目的が達成できる場合は不許可
第3種農地市街地の区域または市街地化の傾向が著しい区域にある農地原則許可

【一般基準】

①転用の資力・信用
②利害関係者の同意(小作人、抵当権者等)
③遅滞なく転用することが確実か
④他法令の許可見込
⑤申請農地と一体で転用目的に供する土地の利用見込みがあるか
⑥計画面積の妥当性
⑦土砂の流出、崩壊の発生はないか
⑧農業用用排水施設の機能に影響はないか
⑨周辺農地の日照、通風等に支障はないか
⑩農道、ため池等農地の保全に必要な施設の機能に支障はないか

許可申請

譲渡人・譲受人で共同申請となります。行政書士が行う場合は双方の代理人となります。

知事へ申請する場合
①申請書提出先は農業委員会

②農業委員会が意見を付して知事へ送付
↓ 注意
許可前の工事着手は不可です
事前代金支払いも許可証がなければ所有権移転登記が認められません
事業計画通りの転用でない場合、処罰、工事中止、原状回復命令、等があります。
個人住宅用の土地転用目的でなく共同住宅、ガレージ、資材置き場等は開発行為となる場合がありますのであらかじめ事前協議が必要です
③知事が農業会議に意見を聞きます

④知事より許可・不許可の指令書を農業委員会へ交付 します

⑤農業委員会が許可・不許可を申請者に交付します

提出書類

・許可申請書 実印を使用します
・事業計画書と確認書
・委任状
・土地登記事項証明書(登記事項と申請者の現住所が異なる場合は住民票の写し)
・公図の写し(転用計画地を明示、隣接地所有者、地目等を記載、隣地関係図(申請地や隣接地の地番、地目、所有者、耕作者を明示))
・位置図(1/2500、1/10000程度)
・土地利用計画図(1/100、1/500)
・事業計画に係る施設の平面図(被害防除施設を含む)
・縦横断図
・構造図
・資金計画書
・排水計画図等
・融資証明書または残高証明書 事業費500~1000万円以上の場合。工期1年以上の場合は工程表も必要。
・定款、法人登記事項証明書 譲受人が法人の場合