いいアイデアがあって会社を作りたいのだけれどどうしたらいいの? と思う人は多いのではないでしょうか。開業届、給与支払いの届出、消費税・保険関連、etc.たくさんの手続きが必要です。なかでも会社の憲法ともされる定款は認証を受けなければその効力を生じません。(会社法)
定款
定款に記載する事項は大きく3つあります
絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければならず、これを記載しないと定款自体が無効となるものです。(30条1項)
- 目的、
- 商号、
- 本店の所在地、
- 設立時出資財産の価額またはその最低額、
- 発起人の氏名または名称及び住所、
- 発行可能株式総数※です。
※発行可能株式総数は、認証時における定款の記載事項とはされていませんが、設立登記時までに発起人全員の同意または創立総会の決議によって定款を変更して定めなければなりません。(37条1項)
なお、公開会社においては設立時発行株式の総数は発行可能株式総数の4分の1を下回ることはできません。
相対的記載事項
(変態設立事項!危険な約束!ともいいます。) 特に記載しなくても定款自体は無効にはなりませんがこれを記載しておかないとその効力が認められないものです。
- 現物出資(金銭以外の財産による出資のことです)、
- 財産引受(発起人が第三者との間で会社の成立を条件に会社のために一定の財産を譲り受ける契約、財産とその価額・譲渡人氏名)、
- 発起人の報酬その他の特別な利益、
- 設立費用(事務所賃借料など)
その他変態的事項ではありませんが、機関設計や発行する株式の種類(譲渡制限など)の事項などがあります。
任意的記載事項
記載しなくても定款自体は無効にはなりませんが、記載されていることにより定款変更の手続きによらなければその事項を変更できなくなるものです。取締役の員数、決算期の定めなどです。
公証人の認証
これに発起人全員が署名または記名押印し公証人による認証を受けなければその効力を生じません。
公証人認証手数料は資本金額額等が100万円未満である場合は3万円、100万円以上300万円未満である場合は4万円、これ以外の場合は5万円です。これに加えて、登記申請用の謄本を請求する場合、謄本1枚につき250円です。
電子申請も可能でその場合、認証の手数料は無料で、謄本を請求する場合250円のみです。ただし、申請ソフトや電子機器をそろえる必要があります。
なお、持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)の定款には公証人の認証は要求されていません。
持分会社の定款の絶対的記載事項は下記の通りです。
・目的、・商号、・本店の所在地、・社員の氏名または名称および住所、・社員が無限責任社員または有限責任社員のいずれであるかの別、・社員の出資の目的およびその価額または評価の標準
無限責任社員は金銭等以外にも信用や労務を出資の目的とすることができます。
各種の届出
その他、会社設立に際して、下記の役所へ次の届出が必要になります。
税務署(税理士所掌)
開業届、
法人税 法人設立届出書、
青色申告書の承認申請書、
有価証券の1単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書、
棚卸資産の評価方法の届出書、
減価償却資産の償却方法の届出書、
申告期限の延長の特例の届出書、
国税関係書類の電磁的記録等による保存等の承認申請書、
源泉所得税 給与支払い事務所等の開設届出書、
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書及び納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書、
(消費税関連)新設法人に該当する旨の届出書、課税事業者選択届出書、簡易課税制度選択届出書、課税事業者届出書
労働基準監督署(社会保険労務士所掌)
労災保険
公共職業安定所
雇用保険
社会保険事務所
厚生年金、健康保険
その他、業種によっては開業前までに許認可申請手続きが必要となる場合がありますので注意が必要です
〇許認可等が必要となる営業の種類と窓口等
その他、会社設立には登記申請(司法書士所掌)などたくさんの手続きが必要となります。会社設立をお考えの方は本業に専念するため、業務を取り扱っているお近くの行政書士に依頼してみてはいかがでしょうか。