インバウンドの増加に伴い、国内のホテル・旅館だけでは宿泊施設の不足が見込まれるようになりました。そこで、住居の空き室などを利用した宿泊、いわゆる民泊事業が増加してきました。利用者の安全や周辺住民の生活環境を確保することなど、事業を行うには、どのような義務や制度があるでしょうか。(住宅宿泊事業法)
ステークホルダー
はじめに、民泊事業に関連するステークホルダー(利害関係者)について説明します。
住宅宿泊事業を行う上で、宿泊者の安全・衛生を確保することや、騒音を防止したり、ごみの出し方を守って周辺住民の環境を確保することが、宿泊事業の登録制度の大きな目的になっています。
そのため、宿泊設備の基準以外に、近隣住民の理解を得ることや消防設備の確保などが必要になっています。
住宅宿泊事業は家主居住型と家主不在型の2つの形態があります。
家主不在型の場合は、住宅宿泊管理事業者に管理を委託する必要があります。
事業者の義務
事業者は宿泊者の衛生や安全を管理する義務があります。
そのため、床面積や換気などの基準、必要事項(ゴミ出し方法やきまりなど)の周知、苦情へ対応すること、宿泊者名簿の備え付け、利便性の確保などが求められます。
また、届出が済んだことを示す標識を掲示しなければなりません。
事業の実施
事業に当たり遵守すべき事項の主な例として、基準を示します。
(この他にも基準があります。)
衛生の確保
・居室の宿泊者一人当たり床面積を3.3㎡以上確保する
・シーツカバー等は宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと交換する
安全の確保
・非常用照明器具の設置、避難経路の表示(事前に建物の所在地を管轄する消防署等に確認する必要あり)
外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保
・タブレット、外国語を用いるなど、災害時の連絡先や最寄り駅への経路などの情報を備え付ける
宿泊者名簿の備え付け
・宿泊者全員の本人確認、旅券確認、氏名・旅券番号・宿泊日、職業 3年間保管
周辺地域の生活環境への悪影響の防止
・騒音防止・ごみ処理・火災防止・その他 のための配慮事項を書面などで説明する
都道府県知事への定期報告
・偶数月の15日までに直前2か月間について宿泊状況を報告しなければなりません。
申請の方法
申請(届出)の方法
住宅宿泊事業の届出をする場合を例に大まかな流れを説明します。
届出先は、住宅宿泊事業の場合、都道府県知事または保健所設置市等の長に宛てて行うことになります。
⓵事前相談 /確認 | ・行政(都道府県・市町村)、消防署、近隣住民等へ確認 |
・施設設備や営業地域などが基準を満たしているか確認しておく | |
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⓶届出(登録) | ・宿泊事業は知事・市長等、 管理業は国土交通大臣、仲介業は観光庁長官へ |
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⓷施設の検査 | ・構造の確認、消防法に準拠しているかなどを検査する |
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⓸許可 | |
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⓹営業開始 | 標識を公衆の見やすい箇所に掲示 |
【申請書類等】
- 住宅宿泊事業届出書(第一面) 氏名、商号、住所など
- 住宅宿泊事業届出書(第二面) 法定代理人に関すること
- 住宅宿泊事業届出書(第三面) 役員に関する事項
- 住宅宿泊事業届出書(第四面) 住宅宿泊管理業に関する事項
- 住宅宿泊事業届出書(第五面) 住宅宿泊管理業務の委託に関する事項
- 添付書類
(法人の場合)
定款または寄付行為、役員が成年被後見人や被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書、役員の登記事項証明書、役員の身分証明書、
住宅の登記事項証明書、入居者の募集の広告の行われていることを証する書類(入居者の募集が行われている家屋に該当する場合)、随時その所有者、賃借人または転借人の居住の用に供されていることを証する書類(該当する家屋の場合)、
図面(台所、浴室、便所、洗面設備の位置)、住宅の間取りおよび出入口、各階の別、居室、宿泊室、および宿泊者の使用に供する部分のそれぞれの床面積、
賃借・転借の場合は住宅宿泊事業に賃貸人・転貸人が承諾したことを証する書面、区分所有の場合は専有部分の用途に関する規約の写し、管理組合で禁止する意思のないことを確認したことを証する書面、
住宅宿泊管理業者に委託する場合は当該管理委託契約の締結時に交付された書面の写し、
住宅宿泊事業者の欠格事由に該当しないことを誓約する書面
(個人の場合)
届出人が成年被後見人や被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書、身分証明書、住宅宿泊事業者の欠格事由に該当しないことを誓約する書面
住宅の登記事項証明書、入居者の募集の広告の行われていることを証する書類(入居者の募集が行われている家屋に該当する場合)、随時その所有者、賃借人または転借人の居住の用に供されていることを証する書類(該当する家屋の場合)、
図面(台所、浴室、便所、洗面設備の位置)、住宅の間取りおよび出入口、各階の別、居室、宿泊室、および宿泊者の使用に供する部分のそれぞれの床面積、
賃借・転借の場合は住宅宿泊事業に賃貸人・転貸人が承諾したことを証する書面、区分所有の場合は専有部分の用途に関する規約の写し、管理組合で禁止する意思のないことを確認したことを証する書面、
住宅宿泊管理業者に委託する場合は当該管理委託契約の締結時に交付された書面の写し、
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